活動報告・開催情報

マインドフルネスはセクシー?

一時のブームが収まって、少しずつ日常に定着してきた感じもあるマインドフルネス瞑想。

その一方で、情報が玉石混交で何を信じて良いのか、わかりづらいとの声も。
今日は巷に混在しているマインドフルネスを整理してみました。

先日、世界的なマインドフルネスの指導者、ティック・ナット・ハン氏が率いる
プラム・ヴィレッジ僧侶団のイベントに参加してきました。

平日の夜、都内某所で開かれた瞑想会はとてもアットホームな雰囲気で、
瞑想会というより夕方のサークル活動みたいなほっこりした感じ。

参加者の方たちを見てみると、

お勤め帰りのスーツ姿の男性や、お友達同士で参加されている若い女性グループ、ジャージ姿の白髪のおじいちゃんetc、
一見、瞑想になんて興味なさそうな本当に「ふつう」の方たちばかり。
その様子をみながら、ああ、マインドフルネスのすそ野って
こんなに広がってきているんだなあ、と嬉しく思いました。

瞑想会では、呼吸瞑想、食べる瞑想、歩く瞑想、といった
マインドフルネスのいわゆる王道ともいえる瞑想をいくつか体験して、
その後は僧侶たちから法話を頂きました。

その中でとても印象的だったのが、
世界中でマインドフルネスの啓蒙活動を続けているファップ・フー氏が、
学生時代の友人と再会した時、友人から「マインドフルネスってセクシーだよね!」と言われたというお話。

アメリカっぽい表現だなあと思って、笑ってしまいました。
(*ちなみにここで言っている「セクシー」っていうのは、若者言葉で「いけてる」くらいのニュアンスです。
日本でもファッション誌などで瞑想が特集されて、
若い女性たちが「おしゃれ」だから瞑想を始めてみた、というのに少し似ていますね)

北米ではマインドフルネスは大ブームで、会社ではもちろん、
地域のコミュニティセンターや、病院、学校、老人ホームなど
様々なところで老若男女とわず、誰でも気軽に参加できるストレス解消法として
かなり社会に浸透してきているそうです。

最近は日本でもマインドフルネスがかつてないほどのブームになっていて、
ストレス対策や集中力アップ目的にマインドフルネスを導入する企業や、
治療の一環として取り入れる医療機関が増え、
各地のお寺などでも一般の方向けに気軽に参加できる瞑想会が開催されたり、
またスポーツクラブのプログラムなどにも取り入れられたりしてています。

マインドフルネスの普及活動をしている私としても大変うれしいことなのですが、
一方で、セミナーに行った先々で
「指導者によっていうことが違うので混乱する」
「仏教と瞑想、マインドフルネスの関係がよくわからない」
といった声もききます。

確かに書店に行けばたくさんのマインドフルネス本が並んでいますし、
テレビのバラエティ番組でも取り上げられて、
情報量があふれすぎていて、また玉石混交でわかりにくい状況になっているなあとも思います。

そこで今日は少し整理してみることにしました。

まずは巷で行われているマインドフルネスをおおまかに4つに分類してみました。

1医療系
2仏教系
3ビジネス系
4ヨガ・運動系

1.医療系
特徴:
精神科や心療内科の先生が、MBSR※や認知行動療法などの心理学的なアプローチ取り入れて実施していることが多い。うつ症状の緩和などに効果をあげている。クリニックや併設の施設などで、ヨガや呼吸法のプログラムも実施していることもある。
この分野の著名人:
ジョン・ガバット・ジン博士、貝谷久宣(精神科医)、久賀谷亮(医師(日・米医師免許)/医学博士)、熊野宏昭(医学博士・大学教授)、藤井英雄(精神科医)ほか

2.仏教系
特徴:
禅宗の僧侶が、お寺や、地域のコミュニティセンター、大学、公共施設などで、禅宗の立場からマインドフルネスを解説、瞑想会をしていることが多い。宗教色を排除し、ご利益を追求するマインドフルネスとは一線を画す主張も多いが、マインドフルネスの本質を学ぶことができる。
この分野の著名人:
ティック・ナット・ハン、アルボムッレ・スマナサーラ(テーラワーダ仏教)S.N.ゴエンカ(ヴィパッサナー瞑想)、プラユキ・ナラテボー(タイ上座部仏教僧侶)、草薙龍瞬(僧侶/興道の里代表)、小池 龍之介(月読寺住職)、藤田一照(曹洞宗国際センター所長)、山下良道(鎌倉一法庵住職)、地橋秀雄(ヴィパッサナー瞑想・グリーンヒル瞑想研究所所長)

3.ビジネス系
特徴:
集中力やパフォーマンス向上や、会社組織の業績向上を目的に実施されることが多い。最新の脳科学のデータに基づいて開発されたプログラムを実施し、宗教色は極力排除されることが多い。ただし最近ではコンパッション(仏教の慈悲の概念や)が、この集中力やパフォーマンスの向上にも不可欠であることが指摘されはじめ、ビジネス系の中にもコンパッションの概念を導入するプログラムが増えつつある。なおGoogleのSIYプログラムの中には当初からコンパッションの概念が組み込まれている。(さすが!)この分野の著名人:
チャディ・メン・タン(Google SIYプログラム開発者)、荻野 淳也(MiLI代表理事)、清水ハン栄治(日本人初Google社・マインドフルネスプログラム認定講師)スティーヴン・マーフィ重松(スタンフォード大学 マインドフルネス教室の著者)ほか

4.ヨガ・運動系
特徴:
上記3つが瞑想法・呼吸法をメインにしているのに対し、瞑想の前に体を整えること、身体調整を積極的に行うアプローチ。
もともと仏教では調身(ちょうしん)→調息(ちょうそく)→調心(ちょうしん)の順に心身を整えるという概念があり、それにもっとも即しているともいえる。(ジョン博士のMBSRには、ヨガの運動も含まれている。また座禅のルーツはヨガのディアーナ(瞑想)であるともいわれており、瞑想の本質を学ぶという点からも、4つの中で一番バランスの良いアプローチと言える。この分野の主な著名人:
サラ・パワーズ(陰ヨガ指導者)、吉田昌生(マインドフルネス瞑想協会理事)、山口伊久子、中島正明など

以上、とてもざっくりとではありますが、分類してみました。

マインドフルネスは知識よりも体感が大切、とは言いますが、
正しい知識がマインドフルネスを深める上ではとても大切です。

ご自分のライフスタイルや目的にあった手法で、良い指導者の下で学ばれることをお勧めします。
この分類が少しでも皆さまのお役に立てたら幸いです。

**
ライター:ヨガ・瞑想部門代表 金田絵美

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